12歳の頃の2日間の長旅。
少年時代を回想しながら物語は進行していく。
4人の少年達の個性がピタリとはまり見事なバランスと連携。
少年期特有の危うさや不確かさ。理不尽な環境による怒り。悲しみ。
懐かしく美しい。永遠の名作。
「 旅立ちの時 」RUNNING ON EMPTY
両親はベトナム戦争当時反戦運動で事件を起こし指名手配されていた。
17歳のダニーは名前を変え髪の色を変え転校と転居を繰り返す生活。
今度の転校先(ニュージャージー)では音楽の教師に才能を買われて音楽の教育を受けるように進められる。
ローナ(マーサ・プリンプト)とも恋が芽生えはじめた。
音楽学院への手応えを感じるダニー。しかし偽名で通ってきた学校に書類が無いことが足かせになってくる。葛藤するダニー。
音楽教師と母方の祖父の力を借りて自分の道を歩みはじめる。
両親のかつての同士達が逮捕され一家は窮地にさらせれ転居を余儀ないものとする。父は家族の絆を重んじていた。彼を町に残せば彼はFBIに監視されて二度と会えない事を意味している。父はダニーの未来を考え町へ残し弟だけをつれて町を去っていく。
この作品でもリバーの思慮深さは演技を超えた深みがある。
状況は異なるが「カルト的集団」の中で生活してきた特異の生い立ちが、リバーの個性にぴったり。
当時17歳。ローナ役のマーサ・プリンプトンとの海での散歩デートも実際の恋人になる訳でナチュラル過ぎる。はじめて海に誘ってみた17歳そのもの。
「旅立ちの時」はリバーの17歳現在の精神的な状況を演じているようにも見えた。
複雑な家族から解放されて無限の可能性と明るい将来に向かっていく姿を現実のリバーと重なって見えた。
実際にはこの作品でアカデミー書ノミネートされた以降のリバーはフロリダへ移住。
家族、家族以外の家族(付き人、バンドのメンバー、かつてハリウッドへの移住を投資してくれた人々)の生計を立てる家長として経済的にも精神的にも支える役割にストレスやプレッシャーがあったといわれる。
10人以上が住み込み地元の人からは「ギャング・フェニックス」と揶揄される仲間達。
新しい恋人スーは「リバーは優しかった。でも精神的に落ち込んでいるとニューヨークにいるマーサに電話して長い時間話していた」と語っている。
ストレスの解消で共通の趣味を持った仲間達との交流ができるはずの並外れた音楽の才能も裏目に出ることになる。
当時のミュージシャンにつきものとされたドラッグに染まっていってしまう事になる。
商業的大成功を収めた「インディージョーンズ最後の聖戦」
でタイトルロールを演じて以降、リバーはインディペンデント作品思考を打ち出す。
「マイ・プライベート・アイダホ」にキアヌ・リーブスと出演する。
(「マイ・プライベート・アイダホ」のガス・バン・サンド監督は後にホアキンを「誘う女」の主演に抜擢。ホアキンはこの作品で高い評価を得る。現在を代表する俳優に登りつめたのはご存じの通り)
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次回「マイ・プライベート・アイダホ」中心にリバー・フェニックスの章を終える予定です。