今年の1本をと考えた時に「トゥ・レスリー」は外せない映画になった。
テキサスを舞台にカントリーミュージックをふんだんに盛り込んで物語は進行する。
彼女(レスリー)は宝くじをあてた。
物語はその数年後からはじまる。
レスリーはアルコール中毒・無職、そして家賃滞納で追い出される。
大家らしき人物や近隣住民に毒づく。破綻してしまった人間性を強調する。
離れて暮らしていた息子の家で助けを求めつつ再起を息子に語るが、アルコールの誘惑に勝てない。物語序盤で息子を失望させてしまう。
その後テキサスの知人の元で暮らしはじめるが馴染めない。
きつい言葉を浴びせられ再び行き場を失う。
ホームレス寸前からほぼホームレスへと転落していく。
人生のどんづまり。
レスリーは中年(40位?)かつては宝くじを当てた事も母親がフロリダに住んでいる事も映画で語られる。
エキセントリックな人間に描かれているが奇行は大体お酒によるもの。
レスリーは大事な人を失望させ続けてきた。
過去の選択や行動から憎まれ口をたたかれる事も多い。
落ちる所まで落ちたように見えたレスリーに物語はささやかなセカンドチャンス。しかし予想外の人生の転機をあたえるようになる。
キャッチフレーズの「人生の夜明けはみじめであたたかい」に進んでいく事になる。
レスリーは「ダメ人間」「負け組」「アル中」そして人間味にあふれている。
リアリティを持って演じたアンドレア・ライズボローはアカデミー賞ノミネート。
アルコール中毒は意思の力だけではどうにかなるものでは無いような気もするがレスリーは人間愛で克服してしまう。
貧乏クサイを超えて匂ってきそうなレスリー。物語がすすむにつれて美人に見えてくる(元々美人なんでしょうけど)
どんづまりで人生を見つめ直すレスリー。
見つめ直すプロセスが作品に流れていた雰囲気をいい意味でガラッと変えてしまう。
退屈な時間を作らない構成。テキサスへ旅をしているような臨場感。テキサスに行きたい。
テキサスの無数にあるこの田舎町だけでなく、私達が日常で通り過ぎる町にもきっとレスリーのような物語はある。
パンフレットを読むとアメリカでは宝くじを当てた方の数年後の破綻は多く見られる現象だそうです。
勤労意欲や苦労して稼いでない分悪い意味でお金に執着無く気持ちが大きくなってしまう。理解出来る気がします。
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