リバー・フェニックスを探して

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羊たちの沈黙 The Silence of the Lambs

「バック・トゥ・ザ・フィーチャー」や「ターミネーター2」は何度見ても面白い。

大分古い作品ですが普遍的。

【当サイトはネタバレはさけていますが今回はネタバレを含みます。ご注意ください】

 

羊たちの沈黙

私にとって何度見ても発見がある映画。初めて見たとき子供だった私はさっぱり理解出来ませんでした。見たときの情感ははっきりと覚えていてその後のジョディフォスターとアンソニー・ホプキンスの活躍や続編(前後作)の登場により何度も見返してしまった映画。多くの3部作や何作も続編が出ている作品の中でも私にとってまだ見終わった感がない「ハンニバル」シリーズ。

羊たちの沈黙

あらすじ

若い女性を被害者とする通称「バッファロー事件」

FBIの行動科学課クロフォードに呼ばれたFBIアカデミーのクラリス(ジョディ)

クロフォードは元精神科医の凶悪殺人犯ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)にFBIへ協力を求めていたがレクターは拒否していた。

レクター博士とクロフォードは不仲。

クロフォードに変りクラリスレクター博士に助言を求めに行く。

レクター博士クラリスの面談をはじめる。何故女性が男社会のFBIアカデミーに入るのか。

そして徐々にクラリスにトラウマを語らせる。

幼少期保安官の父親を亡くしたクラリス牧羊家の家に預けられるが叔父が子羊を屠殺されるのを目にする。夜明けにくる死を前にしても羊たちは動かない。何も出来ない恐怖。一頭の子羊だけ抱えて牧場を出たが失敗。羊は虐殺されクラリスは牧場を出て施設に預けられる。子羊達の叫びがトラウマとなり、また暗い少女時代の象徴として残り続け彼女を苦しめていた。

 

目を背けてきた記憶を引き出したレクター博士バッファローヒル事件の協力を段階的に行っていく。

映画を見ていると一見博士のクラリスに対する愛の物語に見えるが、何度か見て小説版や前後作を見ているとクラリスのトラウマへの治療が博士の目的だと理解してくる。

何故治療を?獄中の暇つぶし?自己顕示欲?

私は精神科医として患者への関心をクラリスに見いだしたのだと思います。

この相手(クラリス)なら治療をしてみたいというような。事件への協力依頼のシーンは博士にとって面談の場だったのでしょう。

やがて博士は移送中脱獄。

バッファローヒル事件のヒントを段階的に示唆された事で、クラリスは恐怖の中でバッファロービル事件犯人を射殺、人質を無事助け出したクラリス

FBI捜査官になったクラリスに電話をするレクター博士

レクター博士は「羊たちの鳴き声は消えたか?」(言い換えれば自身の治療はうなくいったか?)とクラリスに聞く。

そして・・・。

作品全体に漂う雰囲気。ジョディもホプキンスもこの作品の演技で名優になりました。

時系列としては「レッドドラゴン(2002)」-「羊たちの沈黙(1991)」-「ハンニバル(2001)」となります。

博士の幼少期や青年期の物語「ハンニバル・ライシング」は少し異質か。

全部面白いですが「羊たちの沈黙」の圧倒的なストーリーに重みを増す為の前後作といえるでしょう。

レッドドラゴン」ではプロファイリングにおいてFBIで優秀な捜査官。「羊たちの沈黙」では直接登場はしない博士を逮捕した男ウィル・グレアムをエドワード・ノートンが演じている。やはり上司はクロフォードです。

続編のストーリーに不服があったのか10年後を描いた続編「ハンニバル」にジョディは出演していません。理由はスケジュールの都合としている。

ハンニバル」は博士とクラリスはお互いに「失った妹」と「失った父」を見いだすようになる。強く正義に対して健気なクラリスの像をなくしていく。正確な情報ではないがジョディは「羊たちの沈黙」のクラリスを守りたかったのではないか。

「タクシー・ドライバー」でジョディに魅了されたストーカーが大統領暗殺未遂を起こしたトラウマ級の出来事を体験した。そして人として女優として聡明なジョディだから。

異常犯罪やプロファイリングものの原点であり集大成のような作品でありながら、二人の名優を名優たらしめた「羊たちの沈黙」色あせない名作です。